人間よりゴリラが逞しく見えるのは錯覚!?

2022/03/10

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今回の内容は2021年11月1日に配信した内容となります。


こんにちは、ミナミです。今日から11月ですね!


さて、僕も明日から東京で始まる講義のために現在準備中でありますが、そこで僕が講義する内容が「歩行」。


当たり前と言えば当たり前の話ですが、「歩く」ことを考えたらまず「立つ」ことが前提条件となります。


で、「立つ(直立する)」「歩く」ためには解剖学的に言えばいくつか条件がありますが、筋系だけで言えば大きく2つの筋肉が必要となります。それが「大臀筋」と「中殿筋」です。要するに、「お尻の筋肉」ですね。


同じように「立てる」動物を考えると他にゴリラみたいなのもいますが、一見人間とゴリラを比べると、ゴリラの方がたくましい体に見えるじゃないですか。


でも、これには錯覚が多少含まれています。よく見ると、実はゴリラのお尻は意外と小さい。


それに対して、人間はお尻に膨らみがあって大きいのが特徴と言えます。


人間のお尻が立派なのには理由があります。1つはお腹の内臓を受け止めるために骨盤が横に広がっていること。もう1つは、直立するためにお尻の筋肉が発達していることです。で、その主役が大臀筋と中(小)臀筋。


この辺の機能解剖は皆さん問題ないですね。大臀筋は腸骨の大腿骨の後面に、中(小)殿筋は大転子、要するに大腿骨の外側に繋がる。この差が筋肉の働きに大きな違いをもたらすわけですね。


この位置関係から大臀筋は「股関節の伸展」、中(小)殿筋は「股関節の外転」という動きを生み出すわけですが、ここまでは解剖の超基本。問題はこれが「何故直立に必要なのか」ということ。


「股関節の伸展」というのは要するに「大腿骨を下にふり下げる」働き。こんな動きは普通歩いてるときには使わないじゃないですか。


でも見方を変えて、大腿骨が固定されてるとすると、大臀筋は大腿骨に対して骨盤を後に引っ張ることなりますね。イメージできる?


つまり、前に倒れようとする上半身を後に引っ張って起こすのが大臀筋の働きで、これが発達して人類は立てるようになった。


中殿筋の方がいわゆるトレンデレンブルグ徴候等の絡みで聞いたことがある人が多いかもしれません。


歩行中、両足が着地している時間と、片足が着地している時間が交互に来ます。で、片足で立つとき、一方の支えを失った骨盤は軸足と反対側に傾こうとしますね。そのとき軸足側の中殿筋が収縮して、骨盤を水平に持ち上げるから上半身が安定する。


これでやっと「歩ける」わけですが、実際に解剖をして大臀筋から中殿筋を切り離すと、坐骨神経があるのが見えます。実際に見たことがある人は少ないかもしれませんが、坐骨神経は人体で一番大きくて鉛筆くらいの太さがあります。


これが大臀筋の下に隠れているので、お尻に筋肉注射をされるときは坐骨神経を傷つけるリスクがあるので、中殿筋に針を刺されます。ここならその下には腸骨しかないので、血管や神経を傷つける心配がない。


こんなのは解剖書見ててもイメージ出来なくて、実際に解剖をしたことがあるから分かることだったりします。なので、以前も書きましたが、機会があれば解剖は行くべき。見たことの無いものを語るのは限界があります。


ということで、今年も今日であと2ヵ月。皆さん走り切りろー!


ミナミ